エクレアの死 [ねこ]
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あなたは親しい友の死をその身体の大きさで量るのですか
(宮崎駿 - 風の谷のナウシカ 7巻 95P)
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不慮の事故で短い生涯を終えてしまった仔猫を思うにつれ、
縁あった小さな命と真摯に向き合い、なおかつ責任を負うということは
存外大変なことなのだと頓に痛感している次第です。
あの晩、某地区の周辺に暮らす猫たちのお世話や里親探し等、
様々な形で関わっていた5人の男女が、それぞれ神妙な面持ちで小さな箱を囲んでいました。
数時間前までは元気に走り回ったり、遊んでいたはずなのに…。
タオルケットに包まれ、箱にそっと収められた小さな体はもう二度と動くことはないのです。
悔しい、泣きながらつぶやきくり返す知人の横で私はただただ無力でした。
『もう1時間早く様子を見に来ていれば事故を防げたのでは?』
『家人に反対されようとも、強引に家に連れて帰っていたら…』
未だに「たられば」で思考の浅瀬を堂々巡りをするあたり、何とも不甲斐ないことです。
仔猫を一瞬にして連れ去ってしまった奇禍を嘆き、この世の理不尽さを呪いながら、
独り善がりの文字列をつらつら打ち込んでいる私を見るに見かねて、
思わず苦言を呈する人もいることでしょう。
『おい君、こんなことはよくあることだろう。それにたかだか猫の話しじゃないか』
尤もです。よくあることなのです。だとしても、私はこう答えるしかありません。
世迷いごとをと一笑に付すやもですが、エクレアは私たちの友だちだったのです。
そして、永遠に機会が失われてしまった今だからこそ私は夢想します。
誰彼の指先が白と茶の和毛に触れたその瞬間、
きっとふるふると喉を鳴らして応えてくれたと思うのです。
やんちゃで人なつこく、とても可愛らしい仔猫でしたから。
以下、唐突かつ不躾を承知の上で、各種免許をお持ちの方にお願いがあります。
車やバイク等を運転する際にはどうか気をつけてください。
猫に限らず、私たち人間だって例外じゃありません。
これを読んでくれているあなたも、あなたの大切な人たちも、
そして、私も、私の大切な人たちもです。
暴走する鉄のかたまりを前にして、生きとし生けるものは須く無力なのです。
斯く言う自分も免許を有し、時には車を運転したりする身ですから、
ハンドルを握る際には存分に注意するのだと戒め、ここに誓います。
こうした悲しい出来事に遭遇するたび、昔読んだ平井和正氏の短編を秘かに思い出します。
この先「仇討ち免許」なるものが必要な荒んだ時代には決してなりませんように。
あなたは親しい友の死をその身体の大きさで量るのですか
(宮崎駿 - 風の谷のナウシカ 7巻 95P)
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不慮の事故で短い生涯を終えてしまった仔猫を思うにつれ、
縁あった小さな命と真摯に向き合い、なおかつ責任を負うということは
存外大変なことなのだと頓に痛感している次第です。
あの晩、某地区の周辺に暮らす猫たちのお世話や里親探し等、
様々な形で関わっていた5人の男女が、それぞれ神妙な面持ちで小さな箱を囲んでいました。
数時間前までは元気に走り回ったり、遊んでいたはずなのに…。
タオルケットに包まれ、箱にそっと収められた小さな体はもう二度と動くことはないのです。
悔しい、泣きながらつぶやきくり返す知人の横で私はただただ無力でした。
『もう1時間早く様子を見に来ていれば事故を防げたのでは?』
『家人に反対されようとも、強引に家に連れて帰っていたら…』
未だに「たられば」で思考の浅瀬を堂々巡りをするあたり、何とも不甲斐ないことです。
仔猫を一瞬にして連れ去ってしまった奇禍を嘆き、この世の理不尽さを呪いながら、
独り善がりの文字列をつらつら打ち込んでいる私を見るに見かねて、
思わず苦言を呈する人もいることでしょう。
『おい君、こんなことはよくあることだろう。それにたかだか猫の話しじゃないか』
尤もです。よくあることなのです。だとしても、私はこう答えるしかありません。
世迷いごとをと一笑に付すやもですが、エクレアは私たちの友だちだったのです。
そして、永遠に機会が失われてしまった今だからこそ私は夢想します。
誰彼の指先が白と茶の和毛に触れたその瞬間、
きっとふるふると喉を鳴らして応えてくれたと思うのです。
やんちゃで人なつこく、とても可愛らしい仔猫でしたから。
以下、唐突かつ不躾を承知の上で、各種免許をお持ちの方にお願いがあります。
車やバイク等を運転する際にはどうか気をつけてください。
猫に限らず、私たち人間だって例外じゃありません。
これを読んでくれているあなたも、あなたの大切な人たちも、
そして、私も、私の大切な人たちもです。
暴走する鉄のかたまりを前にして、生きとし生けるものは須く無力なのです。
斯く言う自分も免許を有し、時には車を運転したりする身ですから、
ハンドルを握る際には存分に注意するのだと戒め、ここに誓います。
こうした悲しい出来事に遭遇するたび、昔読んだ平井和正氏の短編を秘かに思い出します。
この先「仇討ち免許」なるものが必要な荒んだ時代には決してなりませんように。
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